コラム

COLUMNわきがを自力で治す方法はある? セルフケアで出来る対策について解説

日本人は特に体臭に対する意識が強く、無臭である事を求める文化といわれていますが、体臭の中でも気になる方が多いものがワキガ臭ではないでしょうか。
今回はわきがを自分で治す方法があるのか、セルフケアで行える対策はあるのかなどについて解説いたします。

そもそも「わきが」とは?

わきがは医学的には腋臭症(えきしゅうしょう)と呼ばれるもので、主にワキの下などから汗を原因とした強いにおいが生じる状態を指します。
わきがのにおいは「スパイシーなにおい」や「鉛筆のようなにおい」など様々な表現がされますが、これは体質や生活習慣などによってにおいが異なるためで、わきがであれば同じにおいになるというものではありません。
体質によるものなので特に病気というものではありませんが、日本においてはわきがの方の割合が少ない事や、清潔さを重視する文化という点から敬遠される事が多いものといえます。

海外ではわきがが普通?

わきがは体質的なものであり、遺伝によってその体質になるかどうかがわかれますが、日本人ではわきがとなり得る遺伝の方が30%程度といわれています。
一方で、ヨーロッパ系人種では80%、アフリカ系人種では100%がわきがの遺伝子を持っているとされており、むしろ遺伝的にわきがの体質である人の割合が大きい状態ですので、海外ではわきがが普通であるといえるでしょう。

わきがの原因は「アポクリン汗腺」の汗

わきが(腋臭症)の原因が汗とご紹介しましたが、この「汗」というのは一般的に想像する水分の多い汗ではありません。
人の体から分泌される汗には2つの種類があり、その一つが「エクリン汗腺」というところから分泌されるもので、もう一つが「アポクリン汗腺」というところから分泌されるものです。

水分の多い汗はエクリン汗腺から分泌されるもので、上昇した体温を下げる目的で分泌されるものです。
エクリン汗腺の汗はほとんどが水分で構成されていて、これが蒸発する際に気化熱で体温を下げる働きを持っており、エクリン汗腺は全身に存在しています。
なお、においの元となるような成分は含まれていないため、エクリン汗腺からの汗が増えてもにおいが強くなる事はありませんが、肌表面にある皮脂や垢などが細菌によって分解されるとにおいの原因となり、これをエクリン汗腺から出た汗の蒸発によって周囲に拡散させてしまうと「汗臭い」という状態になります。

一方、アポクリン汗腺というのはワキや耳の周囲、股間周囲などに分布する汗腺で、水分ではなくタンパク質や脂質などを多く含んだ汗を分泌します。
そのため、アポクリン汗腺から分泌された汗が細菌によって分解されるとにおいの原因となりやすく、これがわきがの原因となります。
アポクリン汗腺が多く存在する点や、エクリン汗腺からの汗も出やすい点からにおいが周囲に広がりやすいため「わきが」としての症状が出やすいのですが、股間部分で独特のにおいを生じてしまうケースもあり、この場合は「すそわきが」と呼ばれたりします。

ちなみにアポクリン汗腺からの汗は体温とは無関係で、思春期ごろから性ホルモンの影響で分泌が促進されるため、異性に対するフェロモンとしての働きを持つといわれています。

わきがの原因は「アポクリン汗腺」から分泌されるタンパク質や脂質の多い汗であるため、この汗の分泌を抑える事がわきがの改善には必要となります。

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わきがを自力で治す方法について

前述の通り、わきがは病気ではなく遺伝による体質ですので自力で完全に原因を取り除くという事はできません。
根本的な原因の解消を行うのであればアポクリン汗腺を除去する「剪除法」などの手術が必要となります。

しかし、汗腺を減らすというような対策ではなく「アポクリン汗腺からの汗を減らす」という形での対策は可能ですので、まず自力でケアをしたいと考えている方は下記のような対策を行いましょう。

脂質の多い食事を避ける

アポクリン汗腺からの汗も、食事によって得られた栄養によって作られます。
そのため特に脂質が多い食事が中心になっていると、においの原因となる汗になりやすく、脂質の少ない和食のような食事が中心だと汗が分泌されたとしても細菌が繁殖しにくく、においの原因になりにくい状態になるといえます。

日本でもわきがや体臭を気にする方が増加していますが、この大きな原因に食事の変化があり、脂質の多い欧米型の食事を取る事が増えるに従ってわきがなどの体臭トラブルも増えています。
わきがを軽減させるためには揚げ物など脂質が多い食事に偏らせず、バランスよく栄養を摂取できる内容を心がけましょう。

過度の飲酒やタバコはやめる

お酒に含まれるアルコールやたばこに含まれるニコチンにはアポクリン汗腺を刺激する作用があるため、飲酒や喫煙といった習慣はわきがを悪化させる原因となります。
また、過度の飲酒や喫煙は体調を悪化させてわきがだけではなく様々な体臭の原因になる可能性もありますので、注意しましょう。

脇毛の処理をする

わきがのニオイはアポクリン汗腺からの汗ですが、このニオイが周囲に広がっていく原因はエクリン汗腺から出た汗の蒸発による所ものも大きいため、水分の多い汗をかいたり、わきに汗が溜まったりする事を防ぐというのもわきがを軽減させるためのポイントです。
わき汗を軽減するための方法の一つが脇毛の処理で、脇毛を無くす事で蒸れにくくし、においの拡散を抑える事ができます。

十分な睡眠の確保やストレスの回避

汗の分泌は精神面にも影響されます。
強いストレスなどを感じると交感神経が優位となるため、汗腺が活発になって汗をかきやすくなりますので、わきがを抑制するためには強いストレスを感じないようにコントロールする必要があります。

とはいえストレスとなる要素は自分自身でコントロールする事ができないものが多いかと思いますので、自力で行える部分としては十分な睡眠の量と質を確保する事があげられます。
睡眠はストレスの軽減を行うためにとても重要な行為ですので、1日7時間以上、適切な時間に眠るようにしましょう。

また、適度に体を動かす事もストレスの軽減となりますので、軽い運動を習慣的に行う事も有効です。
体を動かして汗をかくと体臭が気になるという方もいるかと思いますが、適度に運動を行って老廃物の排出が促される状態にした方が体臭も強くなりにくくなりますので、むしろ積極的に運動する習慣をつけた方が良いといえます。

制汗剤の使用

制汗剤には2つのタイプがあります。

殺菌によってにおいの原因を抑えるもの

市販の制汗剤の多くは、冷たい刺激などと共に細菌の活動を抑えたり、殺菌したりする事によってにおいの発生を抑制するものです。
わきがのにおいも基本的には細菌がタンパク質や脂質を分解する事によって生じるにおいですので、汗によるにおいを抑える制汗剤や、アルコールなどを使用して除菌を行う事でにおいを軽減する事ができます。
においが出てくる度に使用する事になるため、肌の負担が少なく定期的に使用しやすいものを選ぶとよいでしょう。

汗そのものを抑えるもの

医療機関で取り扱いが行われているパースピレックスなどのように、汗の分泌そのものを抑えるタイプの制汗剤は原因そのものの抑制が可能で、日中の塗りなおしなども不要なためわきがの症状を抑えるためにはとても有効です。

パースピレックスは塩化アルミニウムを主成分とした制汗剤で、汗腺の内部で水分と反応して「栓」のような状態になり、汗の分泌そのものを止める事で発汗をコントロールします。
一度塗れば3~5日間効果が持続するため、なるべく手間をかけずにしっかりと対策を行いたいという方に適しています。

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わきがを根本的に解決するための治療法

わきがによるニオイを極力抑えるためのセルフケアをご紹介しましたが、これらはやはり一時的な対応であり、根本的に改善させるためには手術を含めた治療が必要となります。
わきが治療の代表的な方法をご紹介します。

剪除法

わきがを根本的に治療する方法として、最も有効な方法は剪除法という手術です。
これはワキの皮膚を切開し、医師が直接アポクリン汗腺を目視で確認しながら除去していくという手術方法で、わきがの原因であるアポクリン汗腺がなくなるため確実にわきがを解消する事ができます。

一方でわきを切開して裏返すため体への負担が大きく、術後しばらくの固定が必要になるなどダウンタイムが大変である事から、極力術後の負担を軽減するための術式も開発されています。
ただし、そうした術式はどうしてもわきがを完全に解消するためには不十分な結果となりやすいため、どの程度の確実性でわきがを改善したいかによって選ぶ必要があるでしょう。

なお剪除法については保険診療も行われており、保険適用の場合は5万円ほどの治療費となります。
当院では保険診療については対応しておりませんが、美容外科での治療では術後の傷跡が極力残らないような手術である事や、においの程度などによって保険適用での治療が受けられない方でも治療が可能となる点が違いとして挙げられます。

ミラドライ

肌表面から皮下に熱を加え、アポクリン汗腺を破壊する事でわきがを軽減する治療です。
剪除法による手術のように切開する必要がないため術後のケアが楽であるという点が利点としてあげられます。
一方で、どうしてもアポクリン汗腺を完全に除去しきれない事が多く、わきがの症状が解消されない可能性が残るという点がデメリットである点や、皮下組織に熱傷を作るため、術後の痛みなどダウンタイムの症状が無いわけではありません。
間違った使用法による死亡事故なども発生しており、手軽な治療ではありませんので治療を検討する際には注意しましょう。

ボトックス注射

神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを抑制する事で汗腺を止める注射です。
アポクリン汗腺そのものを無くすわけではないので根本治療ではありませんが、一度注射すれば3か月から半年程度は効果が持続し、においの原因である汗の分泌をストップさせる事が出来ます。
また、注射をうつだけの手軽な治療であるため非常に人気の手法であり、夏場の汗をかきやすい時期だけ体臭が気になるという方も多く治療をうけています。

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わきがの適切なケアはにおいのレベルチェックから

わきがの対策方法は自力で行える範囲や医療的な処置など様々ですが、具体的にどのような対策を行うべきかについては、わきががどの程度の症状かにあわせて行う事が大切です。
わきがのような体臭トラブルについては自分自身では判断しにくい事が多く、場合によっては自分の体臭が気になりすぎたために「くさい」と思い込んでしまっているケースなどもありますので、まずは専門の医療機関でわきがの程度をチェックしてみると良いでしょう。
医療機関ではガーゼテストによって客観的ににおいの程度を知る事が可能で、においの程度にあわせて具体的にどのようなケアを行うべきかが明確になる事でしっかりと対策を行いやすくなります。

城本クリニックでは、医師が患者様一人ひとりのお悩みを伺い、適切な診断を元に最適なケア方法、治療方法をご案内しております。
最適なケア方法や治療方法を知るだけでも十分なケアを行いやすくなりますので、まずは一度お気軽にご相談ください。

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本コラムの監修医師

1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック

医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹

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