わきがのセルフチェック
わきがかどうかはご自分ではわかりにくいものです。
この中の1つが当てはまるからといって、わきがであるというわけではありません。
これらの項目が多ければわきがの可能性が高いということになります。
わきがの疑いがないかどうか一度チェックし、該当する項目が多い方はお気軽にご相談ください。
臭いの原因はアポクリン腺からの汗と細菌
ワキガの臭いは、実は体から直接発生しているわけではありません。臭いはアポクリン腺という汗腺から分泌される汗を細菌が分解する過程で出るもので、体から直接出ている臭いではないのです。
人の体には「アポクリン腺」と「エクリン腺」という2種類の汗腺があり、運動などによって体温が上がった際に出てくる水分の多い汗は「エクリン腺」という汗腺から出るもの。
一方で、アポクリン腺は水分よりも脂肪酸や尿素、アンモニアなどが多く含まれた汗を分泌します。
そのため、アポクリン腺から出る汗は水分以外の成分が多いため細菌の栄養となりやすく、臭いの原因となりやすいのです。
また、アポクリン腺からの汗は運動など体温が上昇する事で分泌されるのではなく、ストレスを感じた際などに分泌されやすくなるため、臭いが強くなる状況も異なり、ストレスなどが強く影響しやすいといえます。
ちなみに、アポクリン腺からの汗によって生じる臭いはフェロモンとしての役割でもあるため、日本以外では好意的に受け入れられている所もあります。日本ではワキガが少数という扱いですが、そうした文化の国ではワキガの人の方が多い所もあり、文化による差が大きいといるでしょう。
アポクリン腺は存在する箇所が決まっている
エクリン腺は全身に存在している汗腺ですが、アポクリン腺はワキや鼠径部、耳の周囲などに集中して存在しています。つまり、こうした部分の特徴を確認する事で、アポクリン腺が発達しやすいかどうかをチェックする事ができます。
ワキガの臭いは生活習慣によっても異なる
ワキガの臭いはアポクリン腺から分泌される汗を細菌が分解する事によって生じるものですが、分泌される汗に含まれる脂肪酸などの割合は、食事内容など生活習慣によっても異なります。
特に、脂質が多い欧米型の食事では汗に脂肪分が含まれやすくなるため、細菌が繁殖しやすく臭いが強く出やすくなるなどの影響が出ます。
遺伝的な影響と生活習慣での影響の双方がワキガの臭いを作る原因となりますので、正しく対策を行うためにも、まずは自身がワキガの要因をどのくらい持っているかセルフチェックしてみましょう。
ワキガによる臭いの原因を知って、セルフチェックしてみましょう
CONSULTATION わきがセルフチェック
耳垢が湿っている
耳垢とわきがはとても深い関係があります。
かさかさしている、乾いた耳垢のタイプの方と、べっとりと湿った耳垢のタイプの方がいます。アポクリン汗腺はワキの下や、耳穴、乳輪、外陰部などの特定された部位に存在する汗腺です。湿った耳垢は、耳穴のアポクリン汗腺が活発で常に湿気を帯びているということになります。
湿った耳垢の方は、わきがである可能性がかなり高いと思われます。
余談ですが、欧米ではわきがの人の割合が多い=耳垢もねっとりした方が多く、このタイプの耳垢は長期間放置しておくとロウのように固まってしまう特徴がある事から、耳垢が固まって耳を塞いでしまい「聞こえなくなった」というようなトラブルも時々起こります。
家族にわきがの人がいる
わきがは優勢遺伝によってアポクリン汗腺の数などが左右されます。優勢遺伝とは「優れたものが遺伝する」というものではなく、「受け継がれやすいもの(表れやすい性質)」ということです。
例えば血液型であればA型やB型が優勢遺伝、O型が劣性遺伝となっており、両親がAB型とO型の場合に子供は必ずA型かB型となりO型にはならないように、優性遺伝の性質が強く表れる事となります。
そのため、片親がわきがの場合は約50%、両親がわきがの場合は約75%の割合で遺伝するともいわれています。
洋服の脇の下の部分が黄ばむ
汗をかくと、汗染みがつきます。大体の汗染みは洗濯をするとキレイに落ちますが、洗濯をしても落ちない黄色い汗染みが残るようであれば、わきがの可能性があります。
黄ばみの原因は、アポクリン汗腺からの分泌液に含まれる脂肪やタンパク質、鉄分、色素などによるものです。
エクリン腺から出る汗の水分によってできた汗染みであれば洗濯で簡単に落とす事ができますが、タンパク質などが混ざって出来た黄ばみについては一般的な中性洗剤では除去できないため、徐々に蓄積されていき「落ちない汗染み」となっていきます。
そのため、黄色い汗染みができやすい人は、アポクリン汗腺の分泌量が多いと考えられます。
とくにワキなどが毛深い
アポクリン汗腺は毛穴の中にあり、毛根の部分に存在するものです。つまり、体毛が多いということは、それだけ毛穴の数も多くあるため、アポクリン汗腺も多いということになります。
特にワキや鼠径部など、アポクリン腺が多い箇所の毛が濃いとニオイの元となる汗の分泌量が多いという事になりますので、ワキガの可能性が高くなります。
毛根に汗や皮脂などの分泌物が付着し、細菌を繁殖させてしまうため臭いが強くなってしまうこともあります。
ワキの毛の生え方によっても特徴があり、女性では、ワキの毛が太く、1つの毛穴から毛が2本生えている確立が高い方にアポクリン汗腺が多くみられたり、男性では、猫毛のように細く欧米人のようなワキの毛の方にアポクリン汗腺が多くみられる傾向があります。
お肉や乳製品をよく食べるなど欧米型の食生活
分泌される汗の性質は、食事の内容によっても変化します。そのため、特に動物性の脂肪をたくさん摂取する欧米型の食生活だと、アポクリン汗腺からの分泌物に、臭いの元となる脂肪成分が加わって臭いが強くなってしまう場合があります。
お顔がいつもてかり気味
いつもお顔がてかり気味という方は、皮脂腺が活発だと思われます。
皮脂腺が活発な方は、同時にアポクリン汗腺も活発だということになります。
自分が臭いと感じる
暑い日や、運動をした後などに汗の臭いを感じるのは普通の事ですが、なにもしていない状態や、お風呂に入ったあとで、汗の臭いを感じるのはわきがの可能性があると言えます。自分の体臭は麻痺してしまって感じない方が多いのですが、それにもかかわらず、臭いを感じるというのは、臭いが強い可能性があります。
他人に臭いと言われた
人には、衣服に付いたタバコや食品のニオイ、頭皮のニオイ、口臭、加齢臭、老人臭など、他人とは違った様々なニオイがあります。最近では、ニオイに神経質になりすぎて、「自己臭症」(自己臭恐怖症)といった精神疾患にかかる方も珍しくありません。まずは、そのニオイがわきがなのか判断する必要があります。清潔にしていてもニオイが気になるようでしたら専門家にご相談ください。
寒い季節でも汗をかく
エクリン腺から分泌される水分の多い汗は、体温調節のためにかくものです。汗をかくという作業を行い体温を下げる働きをします。
冬のように寒くても汗が出るという方は、精神的な影響などで汗が分泌されているため、わきがや多汗症の可能性があるといえます。
ストレスが多い
ストレスは、様々な細胞を刺激します。頭痛や、神経痛、腹痛、胃痛などあらゆる症状を引き起こす原因の1つです。 また、ストレスを感じるとアドレナリンが分泌され、血糖値が上昇します。その結果汗腺も刺激されるので、緊張して汗をかいたり、冷や汗をかいたり、汗をかきやすくなる傾向があるようです。
そのような汗を「精神性発汗」と呼びます。精神性発汗はごく自然なものですが、常時ストレスを感じていたり、緊張状態が続くと、いつも汗が分泌され続け、ワキの下が湿った状態が続くということになります。その結果細菌を繁殖させてしまい、臭いも強くなる可能性があります。
ワキガ臭のレベルをセルフチェック
自身がワキガの可能性があるのかどうかではなく、実際の体臭がどの程度なのかを判断するためには、実は少し工夫が必要となります。
なぜなら、自分自身の臭いは常日頃から嗅いでいるため、慣れてしまっていて客観的な判定が難しいのです。
そのため、正確な判定を行うためには出来れば専門のクリニックにかかった方が良いのですが、病院で行われる「ガーゼテスト」はセルフチェックとしても導入可能な方法ですので、気になるかたはまずは自分自身や、誰か協力してくれる人と一緒にやってみてください。
ガーゼテストの方法
ワキガのチェックで用いられるガーゼテストの方法は簡単で、清潔なガーゼをわきに挟んでそのまま数分間軽い運動を行い、そのガーゼの臭いを嗅ぐというものです。
自分自身で行うと体臭の判定が難しいため誰かに協力してもらうと良いのですが、セルフチェックで行う際には運動の後にガーゼを取り外したら、一度ワキの下を清潔なタオルなどでふき取って体臭をリセットし、別の部屋など臭いが無い部屋に移動してからチェックをすると良いでしょう。
他の人に協力してもらう場合でも、臭いのチェックは別室で行った方が分かりやすくなります。
ガーゼテストで判定される臭いのレベル
ガーゼテストでは、臭いの度合いを下記の5段階に分けられます。
- レベル1:におわない
- レベル2:わずかに臭う
- レベル3:鼻にガーゼを近づけると臭う(軽度ワキガ)
- レベル4:ガーゼを近づけなくても臭う(中度ワキガ)
- レベル5:手に持っているだけで臭う(重度ワキガ)
ワキガと判定されるのはレベル3以上で、1~2ではあまり手術が進められる事はありません。
とはいえ、日本ではちょっとの臭いでも気になるというケースが多いのも事実ですので、自身の体臭が気になる方は一度医療機関で相談し、専門的なチェックを受けてみるとよいでしょう。
ワキガによる体臭を予防するために
ワキガの体臭は、遺伝的な要素だけではなく生活習慣による影響も非常に大きいものです。
生活習慣で下記のような点に注意する事でも臭いを予防できますので、出来る範囲で取り入れてみてください。
十分な時間・質の睡眠をとる
現代人は睡眠不足と言われていますが、睡眠が不足すると自律神経が乱れやすくなり、肝臓などの内臓機能の働きが低下して代謝機能が落ちると、体内の老廃物(アンモニアなど)が正常に分解・排出されにくくなっていきます。
すると、この残った老廃物がアポクリン腺からの汗となって排出され、臭いの原因になってしまいます。睡眠は十分な時間、そして深い睡眠を得るなどの質が大切ですので、しっかりと睡眠を取るような生活習慣を心がけましょう。
適度な運動習慣を持つ
睡眠不足で自律神経が乱れて代謝機能が落ちると体臭がでやすくなりますが、代謝機能を高めるためには適度な運動習慣が大切です。
ウォーキングやジョギングなどの軽い運動を行う事で、代謝が活発となり老廃物の排出も促進されますので、適度な運動習慣を身に着けるようにしましょう。
脂質が多い食事を避ける
脂質の多い食事を摂取すると、汗に含まれる脂肪酸などの分量が増加し、細菌の繁殖が促進される事から、ワキガの臭いが強くなります。
日本もこの数十年で食事が完全に欧米化してきていますが、肉や乳製品、揚げ物などを中心とした脂肪分の多い食事はワキガの臭いを強める原因となりますので、なるべく控えるようにしましょう。
その他にも、わきがの臭いではありませんがニンニクやスパイスの効いた料理などの臭いが強い食品も体臭を強める要因となりますので、臭いを抑えたい時には控えた方が良いでしょう。
飲酒はほどほどに
飲酒によって摂取したアルコールは、体内でアセトアルデヒドという物質に分解されて尿などとして排出されていきますが、アルコールの摂取量が多いと汗としても排出されます。
そもそもアルコールは血管拡張によって発汗を促進する作用もあるため、体臭の原因となりやすい汗が多量に出てきやすい状態となります。
体臭を抑えるためには、飲酒量もほどほどにしておきましょう。
喫煙は控える
喫煙によって摂取されるニコチンは、アポクリン腺からの汗とエクリン腺からの汗の両方を促進させます。
アポクリン腺からの汗で体臭が出やすくなるのはワキガの原因でも説明した通りですが、実はエクリン腺からの汗が増える事も、汗の水分が蒸発するとともに臭いの物質が拡散しやすくなるため、体臭を周囲に広げてしまいやすくなる要因となります。
つまり、喫煙によって両方の汗腺からの汗が増えると、臭いは一気に広がりやすくなってしまいます。
また、ヘビースモーカーの方は毛細血管の収縮が繰り返され代謝機能も低下しやすくなる事もあって、ワキガの臭いを発しやすい傾向があります。
喫煙は健康面、美容面で影響が大きいので、控えるようにした方が良いといえます。